第1回ロンドン万国博覧会カタログ1851年初版カバー革張特注装旧英国リドニー美術学校蔵本書は、当時の英国政府公認の3巻組カタログ「The Industry of all Nations 1851. The Art-Journal, Illustrated Catalogue(1851年万国博覧会:図解付公式要覧)」である。第1回ロンドン万博が開催された1851年当時の図録で、現在では入手が極めて難しい稀覯本となっている。当初は英国リドニー美術学校の旧蔵品で、背皮装が施されている。来歴が確かなヴィクトリア朝アンティークブックである。本書は膨大な図版と文量で、万博で展示された当時の最先端の技術、各国の文化を紹介している。完全な状態で残るものは数少なく、当時のイギリス社会、歴史、文化背景を知る上では一級品の資料となっている。第1回ロンドン万博は世界初の万博で、集客・収益共に大成功を収めた。ロンドンのハイドパークに建設された会場は、その外観からクリスタルパレス(水晶宮)と呼ばれた。当初、クリスタルパレスはハイド・パークに位置したが、1854年にロンドン南方のシデナムに移設された。近代博覧会の原型は、1475年にフランスのルイ11世がロンドンで開催した「フランス物産展」に遡る。来年2025年は、日本でも大阪万博が開催される予定になっている。万博の始まりをこの機に学んでみるのもいいかもしれない。巻頭女性像は、ヴィクトリア女王である。カラーの国旗が並べられたページは、万博の参加国を表している。当時、写真は存在はしていたものの初期の段階で、挿絵の方がコストが安かったため、展示物は全てペン画で描かれている。蒸気機関と写真機が展示の目玉とされ、英国の国力を各国に見せつける絶好の機会となった。